センター通信

センターニュース(第4号) 平成15年12月19日発行

古典籍デジタルアーカイブ研究センター −学術フロンティア推進事業−

トピックス

古典籍デジタルアーカイブ研究センターが、12月11日京都市デジタルアーカイブ研究センター「第5回デジタルアーカイブ・アウォード賞」を受賞。

−貴重な史料をデジタル保存し、世界に向けて発信−古典籍デジタルアーカイブ研究センターは、文部科学省学術フロンティア推進事業として2001年に採択された、龍谷大学の独自性を活かした高度先端科学技術研究事業です。本学には、寫字台文庫や大谷文庫といった古典籍、長尾文庫などの社会科学関連の貴重資料、大谷探検隊の将来品など、世界的な文化遺産を有しています。これらを整理分類・保存し、永く後世に伝承することは本学に課せられた課題です。本センターは、このような本学所蔵品の原典情報を、最先端の電子技術を利用し、超高精細デジタル画像に変換し、整理・分類した上で、必要によりインターネットなどで公開するシステムを研究しています。このたび、本学図書館所蔵の「大谷コレクション」と称される中央アジア出土文物の断片をデジタル保存する一方、新しい試みとして二面の佛教壁画を陶板によって原寸大に復元しました。
【写真:古典籍デジタルアーカイブ研究センター(龍谷大学瀬田学舎内)】

研究グループ

コンテンツ情報研究グループ 古典籍アーカイブに含まれる専門知識の解析・抽出を行い、アーカイブ情報の分類・検索方式の研究をすすめます。
デジタルアーカイブ研究グループ 入力対象とする原典情報の解析とデジタル情報への変換方式の研究を行います。
科学分析・保存研究グループ 処理対象となる古典籍そのものの科学分析を行い、年代推定、材質判定などの客観的データの解析・蓄積など、基礎解析を進めていきます。

古典籍デジタルアーカイブ研究センターによる失われた仏教壁画の復元

原図と図版

トルファン(中華人民共和国新疆ウイグル自治区)郊外のムルトゥク川にそって、現地の人々がウイグル語でべゼクリク(Bezeklik)「絵のある所」と呼ぶ仏教遺跡群がある。二十世紀の初葉、ドイツ、日本、イギリス、ロシアはこの遺跡を訪れ調査したが、寺院に描かれた絵画、とりわけ佛菩薩などの人物画は、現地のイスラム教徒によって著しい損傷を受けていた。しかし第2次ドイツ探検隊は、1905年、天井が崩落したため完全に砂で埋れていた寺院(9号窟)を掘り出し、イスラム教徒の破壊を受ける以前の、無傷の仏教壁画の回収に成功した。だが蘇生から40年後の1944年、第二次世界大戦末期のベルリン大空襲で民族学博物館は直撃弾を受け、これらの壁画は灰燼に帰した。

復元と対象

ドイツ隊がべゼクリクで得た最大成果は、誓願図 (Pranidhi)と呼ばれる壁画類である。この壁画は、釈迦の本生話(前世物語)の一種であって、張出し寺院9号窟の外陣回廊には十数面描かれていた。図柄は、中央に巨大な過去佛を描き、周囲に釈迦の前世の姿(バラモンや商人など)を配し、大いなる目的に向かって誓いを起したことにより、佛から「貴方は将来、悟りを開き釈迦佛となるであろう」との授記(予言)を受ける場面を表現している。図の上方にはブラーフミー文字でサンスクリットの銘文(詩歌)が記されており、各話の内容も銘文も根本説一切有部という部派の律典に基づいている。外陣回廊の両側に描かれた誓願図中央の過去佛は、外陣回廊を右回りで修行する人の進行方向に顔を向けていた。描かれた時代は、ウイグル人が9世紀半ばに当地へ進出し、支配が安定して広く佛教化した10〜11世紀頃と考えられる。

先ずは「舟上の佛と隊商主」(第14主題・顔左向き)を復元し、続いての対象は、「布髪本生」「燃燈佛授記」「ディーパンカラ佛授記」として有名な場面(第7主題・顔右向き)に決めた。この「ディーパンカラ佛授記」の白黒図版から色彩を復元するに当たっては、型紙を使って壁画は描かれたという前提で、他のカラー図版を詳細に分析し、特定のパターンを見出し、最先端情報科学、画像解析の助けをかりて色彩復元を試みた。また、二面とも原図に見られる切り剥がしの際の傷跡や外縁部の破損箇所など、充分な学術的根拠をもって復元できる箇所は修理しておいた。

2003年9月

原 図 「舟上の佛と隊商主」【写真:上】、「ディーパンカラ佛授記」【写真:下】
制 作 古典籍デジタルアーカイブ研究センター、百済ゼミ
協 力 大塚オーミ陶業株式会社

研究プロジェクトの活動

矯正・保護研究センター

「特別展示――正木ひろし文庫・所蔵資料――」

9:00 〜 17:00 (※ 土日・祝日閉館)
於:龍谷大学深草学舎 至心館1階「矯正・保護研究センター」

当研究センターでは、研究施設竣工記念行事として「特別展示――正木ひろし文庫・所蔵資料――」を、至心館1階展示スペースにて開催いたしております(来年1月に展示替えの予定)。

これは、刑事弁護士として著名な故・正木ひろし弁護士の資料の寄贈を受けまして、「首なし事件」、「八海事件」、「丸正事件」に関する貴重な資料を展示しているものです。

現在、当研究センターのプロジェクトの一つである正木文庫研究会において、寄贈資料の保管・整理・展示・公開のあり方について検討をおこなっております。

「矯正・保護の歴史展(1)近代行刑の夜明け―人足寄せ場から仁愛主義へー」

2004年2月16日(月)〜4月30日(金)
9:00 〜 17:00 (※ 土日・祝日閉館)
於:龍谷大学深草学舎 至心館1階「矯正・保護研究センター」

2月からは、財団法人矯正協会などの御協力を得て、シリーズで「矯正・保護の歴史展」を開催します。その第一回は、長谷川平蔵ゆかりの江戸・石川島人足寄せ場に関する史料をはじめ、明治期に至る近代行刑制度に関わる貴重資料を展示することにいたしました。来館自由です。
矯正・保護課程委員会と共催します。関心ある学生の方々も、ぜひお立ち寄り下さい。

人間・科学・宗教 オープン・リサーチ・センター

第2期パドマ展観

2003年10月20日(月)〜12月19日(金)
10:00〜16:00(※土日・祝日閉館)
於:龍谷大学深草学舎 至心館2階パドマ展示室

10月20日より、至心館パドマで第二期特別展示「人生の終末・心の安らぎ」を展観いたしました。展示は、国宝『山越阿弥陀図』(原寸大復製)をはじめ、『一休骸骨』、『當麻曼陀羅』(模刻)、『二河白道図』、『往生要集』など、"いのち"を見つめる仏教の視点からおこなわれました。また、写字台文庫から『解体新書』や『須彌山儀』などを展示いたしました第一期特別展示もご好評をいただき、開設期間を延長、内容を一部変更して引き続き展示いたしました。期間中、一般、学生など多くの方に来館いただき、まことにありがとうございました。

国際シンポジウム「仏教と環境」報告

2003年9月14日(日)〜9月15日(月) 於:カリフォルニア州立大学バークレー校
於:龍谷大学深草学舎 至心館2階パドマ展示室

9月14〜15日、カリフォルニア州立大学バークレー校(UCB)で、国際シンポジウム「仏教と環境」を主催いたしました。本学から武田龍精(文学部教授・センター長)、浅井成海(文学部教授)、幸泉哲紀・松居竜吾・嵩満也(国際文化学部教授)が出席し、アメリカからルイス・ランカスター先生(UCB)はじめ、4人の先生をお招きし、発表をいただきました。

参加RA本多(UNIT4・代表:嵩満也)の報告では、アメリカ・日本双方の研究者が「今日の環境問題は深刻であり、解決に際して仏教がなんらかのよい意味での影響力をもつのでは」という意見の一致が見られ、有意義な話し合いがおこなわれました。詳報は公式サイトで行っています。
【写真:国際シンポジウム「仏教と環境」】

地域人材・公共政策開発システムオープン・リサーチ・センター

国際シンポジウム

2003年10月14日(火)
10:00〜17:00
於:龍谷大学深草学舎 21号館

去る10月14日(火)に国際シンポジウムが「地域を拓く人材・政策開発システムを考える」をテーマに開催されました。この国際シンポジウムは、地域ORCが本年4月に採択されて以来、初めての大きなイベントであり、今後を研究活動の展開を占う上で重要な意味を持っていました。 当日は、あいにくの雨で参加者の集まり具合が危惧されましたが、盛況のうちに無事終了いたしました。また、前日には、各研究班の班別研究会、国内外からの研究者を招いてのウェルカム・パーティーが紫英館で開催されました。シンポジウムの内容は、以下のとおりでした。

▽第1部:基調講演(10:00〜12:30)
 「ドイツにおける公務員の養成・研修システム」 シュバイヤー行政大学院教授 ライナー・ピチャース氏
 「英国グラウンドワークにおける参加型地域再生」 英国グラウンドワーク マイク・オブライエン氏
▽第2部:パネル・ディスカッション(13:30〜17:00)

北海道合同研究会

2003年11月24日(月)〜26日(水)
於:第1日ニセコ町、第2日札幌市、第3日白老町

第1日目(24日)は、ニセコの町づくりに積極的に関わってこられた方々(町会議員の方を含む)から活動内容と今後の課題を、また、行政の立場からニセコ町役場職員の方々(逢坂町長を含む)から地域政策作り、住民との協働、協力の実態等の報告を受けました。
第2日目(25日)は、北大の神原教授のコーディネートで、北海道町村会と北大法学部を中心とする自治体職員の研修・研究体制の形成とその成果及び課題についての基調講演の後、活動の現状、今後の課題と展開について、各NPO団体の方々から北海道の地域活動についての報告を受けました。
第3日目(26日)は、オプションとして、白老町の現地調査として、住民活動を展開している各NPO団体、行政に関わる白老町役場の方々から、白老町で取組んでいる「総合計画の策定」「行政評価制度」等に関して報告を受けました。
いずれの会場でも予定時間をオーバーするという活発な合同研究会であった。
【写真:北海道合同研究会】

地域人材・公共政策開発システムオープン・リサーチ・センターの研究拠点が新たに紫光館3階に設置されました。短期滞在者用研究室1・2、研究支援室、資料室等があります。

↑ このページのTOPへ